キャリアカウンセラーのさーほです。
先日、Xでこんなポストをしました。
深掘りしていきます。
あなたは仕事の休憩時間、同僚の悩みを聞いて、気がついたら自分の話は何もしていない。帰宅後も家族や友人の相談に乗って、気づいたら夜中…そんな経験、ありませんか?
特に優しい人ほど陥りやすいこの罠。他者の話に耳を傾けることは素晴らしいスキルです。しかし、その過程で自分の気持ちや考えを完全に後回しにしていると、心に小さなモヤモヤが積もり続けます。
実は、多くの優しい人たちが無意識のうちに「自分のことを話すのは申し訳ない」「相手を優先すべき」という思い込みに支配されています。
心理学の研究では、自分の感情を認識し表現することが、メンタルヘルスと人間関係の両方にプラスの影響を与えることが証明されています。この記事では、優しいあなたが心のバランスを取り戻すための、シンプルで効果的な方法をお伝えします。
なぜ優しい人は自分を後回しにするのか
優しい人が自分を後回しにしてしまう理由は、一つではありません。
まず挙げられるのが「相手を傷つけたくない」という配慮の心理です。自分の意見や気持ちを話すことで、相手を不快にさせるかもしれないという恐れが、自動的に自分の発言をセーブしてしまいます。
次に「自分の問題は大したことない」という過小評価があります。他者の深刻な悩みを聞くと、つい自分の悩みを矮小化してしまい、「話すほどのことじゃない」と判断してしまうのです。
さらに無視できないのが、幼少期の環境や教育の影響です。「人の話を聞きなさい」と育てられた人ほど、聞き手の役割に自分を定めやすくなります。
このような理由で抑圧された気持ちや考えが蓄積すると、やがて心身に悪影響を及ぼします。疲労感の増加、イライラ、さらには人間関係のギクシャク感につながることもあります。
心が整理される「5分ノート術」
心の整理を助ける方法は、シンプルです。毎日5分間、自分の気持ちや考えをノートに書き出してみてください。
スマートフォンではなく、紙に手書きすることが重要です。手書きすることで、脳がより深く思考に関与するため、効果が高まります。
朝起きた時、夜寝る前、または心が乱れた時が最適なタイミングです。1日3回でなくても、1回だけでも構いません。無理なく続けることが大切です。
「今日感じたこと」「今、考えていること」「本当は言いたいけど言えないこと」など、心に浮かぶことをそのまま書きます。句点や段落を気にせず、自由に書いてOKです。
タイマーを5分にセットします。5分という短い時間だからこそ、習慣化しやすく、毎日続けられます。
このシンプルなプロセスが、思わぬほどの効果をもたらします。
5分ノート術で得られる4つのメリット
脳内にモヤモヤとして漂っていた考えや感情が、言語化されることで形を持ちます。形を持つことで、初めて対処法が見えてきます。
書き出すことで「今の自分にとって何が重要か」が自動的に浮き彫りになります。無意識のうちに優先すべきことが分かるようになります。
抑圧された気持ちを表現することで、心理的な負担が軽くなります。医学的にも、感情を表現することはストレスホルモンの低下につながることが確認されています。
自分の気持ちが整理されると、他者との関係も自然とクリアになります。「聞き手」だけでなく「話し手」としての側面を大切にすることで、より対等で健全な人間関係が築けます。
継続することで、自分の思考パターンや感情の傾向が見えてきます。これは、今後の人生判断や決断の質を高めることにつながります。
「聞く自分」と「聞かれる自分」のバランスが大事
優しさは間違いなく素晴らしい特性です。ただし、その優しさが自分を完全に後回しにするものであれば、それは本当の優しさとは言えません。
心理学では「自己共感」という概念があります。他者に共感するのと同じように、自分自身にも共感し、自分の気持ちを大切にすることが、真の心の健康につながるという考え方です。
5分のノート術は、その「自己共感」を実践するための、最もシンプルなツールです。
「聞く」ことは大切です。しかし同時に「聞かれる」自分も、同じくらい大切にしてください。他者の声に耳を傾けながら、自分の内なる声にも耳を傾ける。そのバランスが取れた時、初めて心は穏やかさを取り戻します。
今日から、5分でいいから、自分の話をノートに書いてみてください。その小さな一歩が、あなたの人生を変えるきっかけになるかもしれません。