技術報告書の「考察」で手が止まる。書いたのに差し戻される。上司や品質担当から「結局なにが言いたいの?」と突っ込まれる。
この悩み、文章力が足りないからではなく、ほぼ確実に 論点の並べ方(型) が原因です。
考察は“感想”を書く場所ではありません。読み手が判断するための材料を、順番通りに並べるパートです。
この記事では、技術職向けに「差し戻しが減る考察」を最短で書くための テンプレ と 提出前チェックリスト をセットでまとめます。今日の報告書からそのまま使えます。
技術報告書の考察は「判断材料」を並べるパート
考察は、結果の説明ではなく「この結果から何が言えるか」「次に何を判断するか」を支える文章です。読み手が欲しい材料を先に出すだけで、通りやすさが変わります。
技術報告書の読み手(上司・品質・客先)が知りたいのは、だいたい次の4つです。
- 結論:何が言えるのか(いちばん大事)
- 根拠:なぜそう言えるのか(数値・事実・比較)
- 影響:このままだと何が困るのか(品質・コスト・納期・安全)
- 次の一手:次に何をするのか(条件・確認項目・期限)
この4点が揃っていると、読み手は判断できます。逆に、どれかが欠けると差し戻しが起きやすくなります。
差し戻しが増える典型パターン7つ
差し戻しは「内容が悪い」よりも「書き方の型が崩れている」ことで起きます。先にNGを知っておくと、提出前に自分で潰せます。
- NG1:結論が最後まで出てこない
読み手が途中で迷子になります。 - NG2:事実と推測が混ざって断定に見える
「〜だ」と書くほど突っ込まれます。推測は推測と分ける。 - NG3:比較軸(基準)が書かれていない
良いのか悪いのか、判断できません。 - NG4:条件依存(適用範囲)が書けていない
どこまで一般化して良い結果なのかが不明になります。 - NG5:影響が書かれていない
重要度が伝わらず「で?」で終わります。 - NG6:次の一手が抽象的
「確認する」「検討する」だけだと手戻りが増えます。 - NG7:次の一手の優先順位がない
あれもこれもになり、実行できません。
この記事のテンプレとチェックリストは、上のNGをまとめて潰す設計です。
差し戻しを減らす考察テンプレ
考察は、毎回ゼロから悩まず「型に当てはめて埋める」のが最短です。まずは4行で完結させると、読み手もあなたも楽になります。
まずはこれだけでOK:4点セットテンプレ
以下をそのままコピペして、◯◯を埋めてください。
- 結論:今回の結果から、◯◯である可能性が高い。
- 根拠:理由は、①◯◯(数値)②◯◯(比較)③◯◯(事実)である。
- 影響:このままだと◯◯(品質/コスト/納期/安全)に影響するため、対策が必要。
- 次の一手:次回は◯◯を実施し、◯◯を確認する(条件/n数/期限)。
書く順番のコツ
- 結論は「一文で言い切る」
- 根拠は「印象」より「数値と比較」を優先
- 影響は全部書かず、最も重要な1つだけで良い
- 次の一手は「何を・どうやって・いつまでに」のどれかを必ず入れる
使い回せる例文3パターン
状況ごとに言い回しを持っておくと、毎回の悩みが減ります。現場で多い3パターンを用意します。
例文1:目標未達(性能が足りない)
- 結論:目標値に対して◯◯が不足している可能性が高い。
- 根拠:◯◯条件での測定値が平均◯◯であり、目標◯◯に届いていない。さらに◯◯条件で差が拡大した。
- 影響:現状のままでは判定基準を満たせず、量産/次工程移行に影響する。
- 次の一手:要因候補(材料/加工条件/組付け/測定)を3つに絞り、優先度順に切り分け試験を行う(◯日まで)。
例文2:ばらつきが大きい(再現性がない)
- 結論:結果の再現性が十分でなく、外乱の影響が疑われる。
- 根拠:同一条件でも◯◯の差が出ており、平均値より分散が支配的である。測定タイミング/治具条件で傾向差が見られた。
- 影響:判断がブレるため、対策の効果検証が進まず、納期に影響する。
- 次の一手:手順を固定(治具、締付、温度、測定タイミング)し、追加n数で再確認する。特に◯◯条件を優先する。
例文3:想定外の結果(原因が読めない)
- 結論:想定外の結果であり、条件依存の可能性があるため要因の切り分けが必要。
- 根拠:◯◯条件でのみ発生し、他条件では再現しない。発生条件に共通するのは◯◯である。
- 影響:発生条件が限定される場合でも、見逃すと市場不具合や品質判断に影響する。
- 次の一手:要因候補を「材料/工程/測定」に分類し、再現条件を固定して最小の追加確認から実施する。
提出前30秒チェックリスト
ここが差し戻し予防の本丸です。提出直前に、このチェックだけ通す習慣を付けると手戻りが減ります。
- 結論が1文で言える(読み手が判断できる)
- 根拠に「数値」か「比較」がある(事実が支えている)
- 推測は推測として書いている(「可能性」「〜が考えられる」)
- 条件依存(適用範囲)が1行で書けている
- 影響が1つ書けている(品質/コスト/納期/安全のどれか)
- 次の一手が具体(何を/条件/期限 のどれかが入る)
- 「保留点」が明確(追加で必要なデータが分かる)
この7つを満たすだけで、考察は“通りやすい文章”になります。
それでも書けないときは「材料不足」を疑う
考察が止まるときは、文章力ではなく材料(情報)が足りないことが多いです。次の質問に答えると、考察の中身が出てきます。
- どの条件で良くて、どの条件で悪い?(比較軸は何か)
- その差が出る要因候補は何?(3つに絞る)
- いちばん困る影響は何?(1つに絞る)
- 最小の追加確認は何?(最短で不確かさを減らす)
材料が揃えば、文章はテンプレに流し込むだけです。
AIは「点検」に使うと安全で速い
ここではAIは主役にしません。AIは最後の点検に使うのが安全です。
点検用プロンプト(コピペOK)
以下をChatGPTに入れて、抜け漏れだけ確認します。数値や機密は抽象化してください。
以下の考察文を、提出前チェックリスト(結論/根拠/条件依存/影響/次の一手)の観点で不足を指摘し、追記案を提示してください。推測と事実が混ざっている場合は分けてください。
【考察文】
(ここに貼る)
まとめ
考察は「文章力」ではなく「型」で通ります。
まずは 結論→根拠→影響→次の一手 の4点セットで固定し、提出前にチェックリストで抜けを潰してください。差し戻しが減ると、作業時間も評価も一気に良くなります。
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