「また報告書か…」
金曜日の夕方、パソコンの前で私はため息をついていました。
そんな日常を変えてくれたのが、AIツール「ChatGPT」でした。
今週の実験結果をまとめた技術報告書。来週の開発会議用の資料。営業部門への進捗報告メール。やることは山積みです。
でも、本当にやりたいのはこういう作業じゃない。
新商品の設計を詰めたい。実験データを分析して次の改良案を考えたい。技術者として、もっと「創造的な仕事」に時間を使いたい。
36歳、製造業で新商品開発を担当している私は、いつもそう思っていました。
そんなとき、同じ開発部門の後輩から教えてもらったのがChatGPTです。
「AIとか、プログラミングとか、そういうの苦手なんだよな」。正直、最初はそう思いました。
でも、「日本語で普通に話すだけですよ」という言葉に背中を押されて使ってみたら…驚くほど簡単でした。
導入から3ヶ月で、報告書作成の時間が半分に。会議資料も30分で完成するようになりました。
空いた時間で開発業務に集中できるようになり、今期は新製品の試作まで前倒しで進められています。
この記事では、技術職の方に向けて、ChatGPTで「作業」を減らして「開発」に集中する方法をお伝えします。
難しい操作は一切ありません。今日から使えます。
技術職こそChatGPTを使うべき理由
私たち技術者の仕事は、本来「モノを作る」「技術を磨く」ことのはずです。
でも実際は、報告書、会議資料、メール対応、進捗管理…本業以外の「作業」に時間を取られていませんか?
私の場合、週の労働時間50時間のうち、純粋な開発業務は20時間程度。残りの30時間は、こうした周辺業務でした。
「何のためにエンジニアになったんだろう」と思うこともありました。
ChatGPTは、この「周辺業務」を劇的に効率化してくれます。
しかも、技術者は有利なんです。なぜなら、私たちは「論理的に物事を整理する力」「仕様を明確に伝える力」が既に身についているから。
この力とChatGPTの組み合わせは、驚くほど相性が良いんです。
ChatGPTの始め方(3分で完了)
「AIツールって設定とか面倒そう」と思いますよね。私もそうでした。
でも、実際は驚くほど簡単です。
ステップ1: スマホで「ChatGPT」と検索→公式サイト(chat.openai.com)にアクセス
ステップ2: Googleアカウントで登録(メールアドレスでもOK)
ステップ3: 画面下の入力欄に「こんにちは」と入力→返事が返ってくることを確認
これだけです。インストール不要、設定不要。アカウント作成から初回使用まで3分でした。
私は昼休みに後輩に教えてもらいながら登録しました。「え、これで終わり?」と拍子抜けしたのを覚えています。
ChatGPTを使った技術職の業務効率化5つの実例
ここからは、私が毎日使っている具体的な活用法をご紹介します。すべて今日から真似できます。
| 活用シーン | Before | After | 効果 |
|---|---|---|---|
| 技術報告書作成 | 2時間 | 40分 | 文章構成を自動生成 |
| 会議資料 | 1.5時間 | 30分 | スライド骨子を自動生成 |
| 実験データ分析 | 1時間 | 20分 | 傾向・考察を提示 |
| メール作成 | 20分 | 5分 | わかりやすい技術説明 |
| 情報収集・要約 | 1時間 | 15分 | 要点抽出で時短 |
1. 技術報告書・仕様書の下書き作成(2時間→40分)
一番効果を感じたのが、週次の技術報告書作成です。
以前は、実験データをExcelから眺めながら、Wordに向かって2時間かけて書いていました。
「どう表現すれば分かりやすいか」「論理的な流れになっているか」と悩みながら。
今は、箇条書きのメモをChatGPTに渡すだけです。
私の入力例:
「以下の実験結果を技術報告書形式でまとめてください。
・目的:新素材Aの耐熱性能評価
・試験条件:温度200℃、24時間保持
・結果:変形なし、強度低下5%以内
・考察:従来素材Bと比較して優位性あり
・次のステップ:量産試作へ移行を提案」
すると、きちんとした報告書の体裁で文章が出てきます。技術的な表現も自然で、そのまま使えるレベルです。
あとは自分の言葉で微調整して、データや図表を入れれば完成。2時間が40分になりました。
2. 会議資料・プレゼン資料の効率化(1.5時間→30分)
開発会議での進捗報告資料、作るの面倒ですよね。
私はChatGPTに「骨子」を作ってもらっています。
「新製品開発の進捗報告資料を作りたい。以下の内容を含めて、スライド構成を5枚で提案してください。
・開発スケジュール(予定通り進行中)
・今週の成果(試作品完成、初期評価クリア)
・課題(コスト面で目標より10%高い)
・対策(部材変更を検討中)
・来週の予定(量産試作準備)」
すると、スライドのタイトルと各スライドの内容案が出てきます。
1枚目:プロジェクト概要
2枚目:スケジュールと進捗状況
3枚目:今週の成果と評価結果
4枚目:課題と対策案
5枚目:次週以降の予定
この構成に沿ってパワポに落とし込むだけ。ゼロから考えるより圧倒的に早いです。
3. 実験データの整理・分析サポート(1時間→20分)
実験データの傾向分析や、レポートにまとめる作業もサポートしてもらえます。
「以下のデータから、傾向と考察を3つ挙げてください」とデータを渡すと、技術的な視点で分析結果を提示してくれます。
完全に任せるわけじゃありませんが、「こういう見方もあるのか」という気づきをもらえます。一人で考えていたら見落としていた視点が見つかることも多いです。
4. 部門間メール・取引先メールの作成(1通20分→5分)
営業部門への技術説明メール、取引先への仕様確認メール。こういった「技術を分かりやすく伝える」文章も得意です。
「取引先に、新素材の耐熱性能について説明するメールを書いてください。専門用語を避けて、営業担当が理解できるレベルで」
こう指示すると、技術的に正確でありながら、分かりやすい表現のメールが出てきます。
技術者って、どうしても専門用語を使いすぎて「何言ってるか分からない」と言われがちですよね。ChatGPTは、その「翻訳」をしてくれるんです。
5. 技術情報の収集・要約(1時間→15分)
業界の技術動向チェックや、論文・技術資料の要約にも使えます。
長い技術レポートをコピーして「この資料を3つのポイントでまとめてください」と頼めば、エッセンスだけ抽出してくれます。
全部読む時間はないけど、要点は押さえておきたい。そんな時に重宝します。
ChatGPTを安全に使うための3つの注意点
便利なChatGPTですが、開発業務で使う際は注意が必要です。
注意点1: 開発データ・技術情報は絶対に入力しない
これは絶対です。
新製品の詳細仕様、実験の具体的な数値、取引先名、開発コード。こういった機密情報は一切入力しないでください。
私が実践しているのは「抽象化」です。
悪い例:「新素材Xは耐熱温度250℃で、A社との共同開発中」
良い例:「新素材の耐熱性能について、協力企業と開発中」
具体的な数値や固有名詞を伏せても、文章の「構造」や「流れ」を作ってもらうだけで十分効果があります。
注意点2: 技術的な正確性は必ず自分で検証する
ChatGPTは文章を生成するのは得意ですが、技術的な正確性は保証されません。
特に数値計算、技術データの解釈、専門的な判断は必ず自分で確認してください。
私は「たたき台を作ってもらって、技術的な中身は自分で詰める」というスタンスで使っています。最終的な責任は自分が持つ。これが技術者としての姿勢だと思います。
注意点3: 社内の知財・セキュリティルールを確認する
会社によってはAIツールの使用にルールがあります。特に製造業は厳しいケースが多いです。
私の会社では、「外部AIツールに機密情報を入力禁止」「使用前に上司へ報告」というルールがあります。まずは上司や情報システム部門に確認してから使い始めましょう。
開発に集中できる喜び
ChatGPTを使い始めて3ヶ月、変わったのは時間だけじゃありません。
「週30時間を周辺業務に使う技術者」から「週40時間を開発に集中できる技術者」に変わりました。
報告書作成が楽になったことで、金曜の夕方に「また書類仕事か…」と憂鬱になることがなくなりました。会議資料も素早く作れるので、準備に追われることもありません。
空いた時間で、新しい技術の勉強もできるようになりました。業界の論文を読んだり、新しい加工技術を調べたり。技術者として「成長している」実感があります。
そして何より、「モノづくり」に集中できる時間が増えたことが一番嬉しい。試作品を触りながら「ここをこう改良したら…」と考える時間。これが技術者の醍醐味ですよね。
明日から始める3ステップ
ステップ1(今日): アカウント作成(3分)
今すぐスマホで「ChatGPT」と検索。Googleアカウントで登録。「こんにちは」と入力して返事を確認してください。
ステップ2(明日): 1回だけ使ってみる(10分)
明日の業務で、一番簡単な「メール作成」を試してみてください。
「○○部門に進捗報告のメールを書いてください」と頼むだけでOK。
ステップ3(1週間): 毎日1回使う
1週間、毎日何かしら使ってみる。報告書でも、メールでも、資料でも。それだけで使い方のコツが自然と身につきます。
技術者として大切にしたいこと
ChatGPTは確かに便利です。でも、忘れてはいけないことがあります。
AIが作るのは「形」であって、「技術の中身」は私たち技術者が考えるものです。
報告書の文章はChatGPTに任せても、実験の設計、データの解釈、次の開発ステップの判断。こういった「技術者の仕事」は、やっぱり人間がやるべきです。
ChatGPTは、私たちが本来やるべき仕事に集中するための「道具」。そう考えると、うまく付き合えると思います。
私は36歳で、新商品開発の最前線にいます。まだまだ学びたいこと、作りたいものがたくさんあります。
限られた時間の中で、どれだけ「技術者としての仕事」に集中できるか。それが、これからのキャリアを左右すると思っています。
報告書作成に2時間かけるなら、その時間で新しい技術を学びたい。会議資料に悩むより、試作品の改良案を考えたい。
ChatGPTは、そんな私たちの願いを叶えてくれるツールです。
「開発に集中したい」と思っているなら、まずは一度使ってみてください。
きっと、「もっと早く使えばよかった」と思うはずです。
