働き方・キャリア

仕事が速い技術者と遅い技術者の違い──現場で見えた3つの行動パターン

技術職で働いていると、同じ担当範囲でも
「いつも余裕がある人」と「毎日ぎりぎりの人」がいます。

業務量も、それほど変わらない。
経験年数もほぼ同じ。
にもかかわらず、仕事の進み方だけが大きく違う

私自身、現場・製造・技術・開発と10年以上働いてきて、
仕事が速い人には明らかに “共通する動き方” があると感じてきました。

たとえば、私が新人の頃。
作業が遅く、毎日のように残業していました。
一方で、同じ仕事量でも17時半には片付けて帰る先輩がいて、
「何が違うんだろう…」と不思議に思っていました。

あとになって気づいたのは、
スキルや才能の差ではなく、
行動の順番や考え方の“癖”が違っていただけ だということです。

この記事では、現場経験から見えてきた
「仕事が速い技術者の共通パターン」を
3つに整理しました。

今日の業務からすぐに使える内容だけをまとめています。


1.最初の数分で“段取りを固める人”は速い

仕事が遅い人は、
朝一番から勢いよく作業に入ります。

一見すごく行動力があるように見えますが、
段取りがないせいで途中で手戻りが生じ、
午後には混乱してしまうことが多い。

仕事が速い人は、反対に
朝の最初の5分を「整理」に使う ことを習慣にしています。

  • 今日のタスク
  • 優先順位
  • 所要時間の見積もり
  • 突発対応の余白
    これらを短時間でざっと確認します。

■ 現場で実際にあった “ちょっとした違い”

ある先輩は、朝のデスクに座るとすぐに
「今日、外せない3つのこと」を付箋に書いていました。

私は当時、思いついた順にメールを開き、試験片を確認し、作業に取りかかる…。
その結果、突発依頼に振り回され、夕方にはやりたい仕事が半分も終わらない。

この差は、
朝の5分を“前もって使ったかどうか”
だけでした。

■ 段取りは、手戻りへの最大の予防線

技術者の仕事は複雑で、不確定要素も多い。
だからこそ、ほんの数分の段取りが
「午後の1時間の余裕」
につながります。


2.仕事が速い人は“先に枠をつくる”

資料作成や試験計画、不具合まとめなど、
技術者の業務は構造がとても重要です。

仕事が遅い人は、
いきなり本文を書き始めてしまう
という癖があります。

その結果、

  • 方向性がブレる
  • 全体の構成が定まらない
  • 書いた後にまとめ直す
    という手戻りが発生します。

仕事が速い人は、実は文章を書くのが得意なのではなく、
「形を先につくる癖」があるだけ です。

■ 枠づくりの例

  • 試験計画 → 目的・条件・手順・評価の箱だけ先に作る
  • 報告書 → 見出しだけ作る
  • 資料作成 → スライド数と項目だけ決める

ここまで作れば、あとは中身を埋めていくだけ。

■ 迷う時間を減らすという最大のメリット

技術者の仕事が遅くなるのは
“考える回数が多すぎる”
という理由が大きい。

枠があると

  • 判断が減る
  • 道に迷わない
  • 進むべき順番が明確
    という状態になるため、一定の速度で作業が進みます。

■ 実際に見てきた“枠づくりが上手な人”

ある上司は、報告書を作成するとき
最初の10分で「目次だけ」作ってしまうタイプでした。

目次さえあれば、必要な要素が一目でわかるため、
説明の抜け漏れがほぼありません。

これこそ、
成果物のクオリティとスピードを同時に高める方法
です。


3.情報の整理を後回しにしない

技術者の仕事は情報の種類が多い職種です。

  • 試験データ
  • 会議のメモ
  • 不具合の写真
  • 設計変更の履歴
  • 過去の試験資料
  • 図面のバージョン違い

これらを整理しないまま溜めていくと、
調べ直しが増え、作業がどんどん遅くなっていきます。

仕事が遅い人ほど、
「時間があるときに整理しよう」
と考えます。

ですが、忙しい現場では“その時間”はほぼ来ません。

仕事が速い人は、
少しでもその場で整理する
ことを徹底しています。

■ 実例:不具合解析の現場で見た差

不具合対応で、速い人は

  • 写真を撮った瞬間にコメントを残す
  • 原因候補を思いついたら、その場でメモに残す
  • 会議後すぐに「重要ポイントだけ」まとめる

これだけで、後日の調査が驚くほど楽になります。

遅い人は、これを後回しにします。
結果として、
「どこまで整理したっけ?」
から再スタートする羽目になり、どんどん時間を失います。

■ 完璧じゃなくていい。“5割整理”で十分

重要なのは
完璧にまとめようとしないこと。

人は、8割を完璧に仕上げようとすると動きが止まります。
ですが5割整理なら

  • すぐできる
  • 負担が小さい
  • 後の作業が軽い
    という効果があるため続きます。

技術者は「仕事が速くなる素質」をすでに持っている

技術者は本来、

  • 論理的に考える
  • 手順に落とし込む
  • 図や数値で説明する
    という強みがあります。

これは、他の職種よりも
“スピードを出しやすい素質が強い”
という意味でもあります。

だからこそ、
行動の順番だけ変えれば、
想像より簡単に仕事は速くなります。


今日からできる小さな一歩

以下のどれかだけで十分です。

  • 朝の段取りに5分使う
  • 報告書の枠だけ先につくる
  • 会議後に3行だけメモを書く
  • 試験データの仮説を当日中に整理する

完璧を目指さず、
負担が少ない一歩から始めることで“スピードの土台”が作れます。


まとめ

仕事が速い人と遅い人の差は、
能力や経験値よりも
行動の順番と癖の違い にあります。

  • 最初の段取り
  • 先に枠をつくる
  • 情報整理を溜めない

これらを実践するだけで、
日々の手戻りが減り、仕事のスピードは確実に上がります。

今日のどこかのタイミングで
ひとつだけ取り入れてみてください。


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